ズバリ!実在賃金統計ドットコム > 給与を徹底検証 アベノミクスでどう変わったか?

給与を徹底検証 アベノミクスでどう変わったか?

「地方」「中小」置いてきぼりの好景気! アベノミクスの利益は結局「大手」が独り占め 給与を徹底検証 アベノミクスでどう変わったか?

給与を徹底検証 アベノミクスでどう変わったか?

安倍首相のアベノミクスは平成24年に始まり、かれこれ数年が経つ。その間、日本の給与はどう変わったのだろうか?

民間の給与事情を調べるのにもってこいのデータがある。国税庁は、民間勤労者の給与を調査して毎年発表している。年末調整の結果だから、これ以上正確なものはない。

この民間給与実態統計調査結果は、毎年9月に発表されるが、それは速報だ。令和元年の場合、詳細な統計表が発表されたのは11月29日だった。それを待って、北見昌朗は分析を行った。

分析の結果は、こんな内容だった。

◎東京一極集中が進む中で、地方は伸び悩んでいる。その結果、地域間の格差が拡大している。
◎大手のエリート社員の年収が上がっているが、中小はその伸びに付いていけず、企業規模間の格差が拡大している。
◎男性の年収の伸びに、女性の年収は付いていっておらず、男女間格差が拡大している。
◎雇用が拡大した。だが、その一方で深刻な求人難をもたらし、中小企業を苦況に陥らせた。
◎リーマンショック以降の不況時と比較すれば、確かに年収はマシになった。だが、社会保険料の上昇とか、物価高騰を考えると実質所得は上がっていない。むしろ下がっているのでは?

国税庁の民間給与実態統計調査結果とは

主に使用したのは、国税庁の民間給与実態統計調査結果の平成24年及び平成30年のデータだ。

平成24年
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2012/minkan.htm

平成30年
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2018/minkan.htm

Q なぜ、平成24年及び30年のデータなのか?
A 「第6表 企業規模別及び給与階級別の総括表」の中で「役員」「正規」「非正規」という区分ができたのは平成24年以降なので、同じ基準で比較したければ、平成24年以降に絞った方がやりやすい。

Q 民間企業で勤務する全従業員が調査対象になっているのか?
A その通りだ。民間企業で勤務する給与所得者(このサイトでは「民間勤労者」と表す)が調査対象になっている。

Q 年末調整を行った者が調査対象になっているのか?
A 給与データは「1年を通じて勤務した給与所得者」と「1年未満勤続者」に区分され、それぞれ公表されている。

Q 従業員の区分は?
A 「役員」とは、法人の取締役、監査役、理事、監事等をいう。「正規」とは役員、青色事業専従者及び非正規を除く給与所得者をいう。「非正規」とはパートタイマー、アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託等をいう。

Q 正規従業員の給与なのか、非正規を含んだ給与なのか?
A データは「正規従業員のみ」と「非正規を含んだ全従業員のもの」に分かれている。文中ではどちらなのか記載した。

Q 給与とは?
A 「給与」とは、1年間の支給総額(給料・手当及び賞与の合計額をいい、給与所得控除前の収入金額である。)で、通勤手当等の非課税分は含まない。つまり「年収」である。

Q 「平均給与」とは?
A 「平均給与」とは、給与支給総額を給与所得者数で除したものである。ただし、「1年未満勤続者」を除外して計算している。