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経団連の賞与・昇給の調査は意味なし

経団連は賞与の調査や、昇給の調査を行って新聞に発表しているが、ナンセンスである


ある家族の会話です。大学生の息子、会社員の父、パートタイマーで勤務している母、という3人家族です。

 最近は景気も徐々に良くなり、働く人の賞与も増えているそうだね?

 はあ? どこの国の話だ?

 もちろん日本だよ。だって新聞に記事が出ているじゃない。最近は賞与の額が増えているって。だって、ココに記事が出ている。

 どれどれ、なに? この記事かな? 「賞与が2年連続増 経団連調査」

 そうだよ、だってココに賞与が増えているって書いてあるよ。

夏のボーナス
大手96.7万円 経団連調査 過去最高額 経団連が14日に発表した大企業の今夏のボーナス妥結状況(第1回集計、回答96社)によると、製造業と非製造業を合わせた組合員の総平均は前年比6・71%増の96万7386円と2年ぶりに増加に転じた。金額は1959年の調査開始以来、過去最高。経団連は「好調な企業業績を反映した結果」と分析している。

 へえ、ヨソは何だかんだといっても景気が良いのねえ。不景気で賞与が減ったのは我が家だけなの?

 冗談じゃない。こんな記事、信じられない。こんな調査は、まともに調査をしている訳ではない。信じる方がどうかしている。

 それにしても、何なの、このケイダンレンというのは?

 大手企業が入って作っている経済団体のようだ。でもサイトで調べてみても、会員名簿が載っていないので、どんな会社が入っているのか不明だが、たぶん日本国内の大手企業がこぞって加入しているのだろう。1600社以上が会員になっている。

 ということは、大手は景気が良くて、賞与も増えているってことなの?

 うーん、この賞与の調査は大手企業165社がサンプルになっているそうだが、その調査対象の企業名が載っていない。サイトを見ると「2011年 年末賞与一時金」というデータは出てきた。こうして発表しているから事実は事実かもしれないが、疑問を感じる内容だ。

 なぜ?

 だって、日本には勤労者が5000万人以上いる。その中で厚生年金の加入者は3000万人以上いる。その中で経団連に加入する企業の社員が、いったいどれだけいるのか? そもそも%にしたら、%にもならないような比率ではないだろうか? そんな一部のエリートの賞与や昇給なんて、知ったところで意味もない。

 いわゆる格差社会の頂点にいるようなエリートなの?

 いいえ、今の日本のエリートは、大手の社員ではなく、公務員ですよ。公務員以上に恵まれた立場はありませんから。

 ふーん、そうなの?

 だって親戚にいるオジサン、勤務先は市の交通局でしょ。あの人の年収を聞いてビックリしたわ。

 いくら?

 年収1000万円だって。市バスに乗って年収1000万円ですよ。

 それはヒドイな。許せない。確かに今の日本社会の頂点にいるのは公務員で、次が大手の社員かもしれない。

 ところで、この経団連って、何のためにこの賞与や昇給の調査をしているの?

 さあ、わからない。

 きっと見せびらすためじゃないの? 我々エリートはこんなにもらっていると。

 ところで、新聞社は、なぜ経団連の賞与や昇給の記事を載せているの?

 うーん、わからない。考えられるのは広告のためではないかな。大手企業はスポンサーだから、新聞社といえども、その顔色をうかがっているのだろう。

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