【東京都】 賃金が暴落! リーマン前とリーマン後
リーマン前とリーマン後の賃金 東京都の中小企業は暴落し、悲惨な状況に陥っている社長 東京都で会社を経営しています。社員30人の中小企業で、卸売業です。最近は業績が芳しくなく、社員に支払う賞与も低くなっています。社員の生活のことを気にしています。ところで、リーマン前とリーマン後では、やはり東京都の賃金の相場は変化があったのでしょうか? 東京都のヨソの会社でも賃金は減っているのでしょうか?
高橋 はい、リーマン前と後では、東京都の会社の賃金は随分大きく落ち込んでいます。その変化を探るために、平成19年の「ズバリ! 実在 賃金」の賃金のデータと、平成22年の「ズバリ! 実在 賃金」の賃金のデータを比較しました。そこで次のような傾向がはっきりと出てきました。
- 所定内の賃金は、それほど変わっていない。
- 時間外手当を含んだ賃金の総額は、大きく落ち込んでいる。
- 賞与は、ガタガタに落ち込んでいる。
- 年収は、ドスンと落ちている。
社長 賞与が減っているのですか? 経団連の発表になると、賞与は2年連続で増えたそうですがー
高橋 そんなことは新聞記事に出ていましたが、まったく参考になりません。世の中で、経団連に所属する会社などわずかしかないからです。会社のほとんどは中小企業です。
社長 それで、中小企業の場合は、具体的にどんな変化があったのですか? 年収はどうですか?
高橋 これが平成19年の「ズバリ! 実在 賃金」の賃金のデータと、平成22年の「ズバリ! 実在 賃金」の賃金のデータの比較です。例えば「首都圏 50代の一般の男性社員」を例に出しましょう。年収が500万円未満の人の比率は、36%から56%に跳ね上がっています。つまり過半数が500万円割れしたのです。

社長 ほう、500万円割れですか? 昔の良い時代なら、一般社員であっても、50歳になれば、普通なら500万円以上はあったでしょうね?
高橋 はい、いわゆる中間層といわれるものがありましたが、その中間層が崩壊しつつあるのです。
社長 幹部の賃金はどうですか?
高橋 「首都圏 50代の幹部社員」を例に出しましょう。年収が700万円未満の人の比率は、39%から53%に跳ね上がりました。かつてなら、長年勤めた幹部といえば、年収が700万円ぐらいはあったものですが、それも過去の話になりそうです。

社長 女性の社員の賃金はどうですか?
高橋 「首都圏 20代の女性社員」を例に出しましょう。年収が350万円未満の人の比率は、62%から67%に跳ね上がりました。

社長 みな厳しい状況ですね。サラリーマンの生活は厳しいでしょうね?
高橋 はい、サラリーマンの社員の暮らしは厳しくなっています。でも、話はそれだけにとどまらないのです。この賃金の落ち込みは、日本社会の構造にも致命的な影響を与えます。例えば、年金です。厚生年金はその仕組みの前提が「世帯単位」になっています。いわゆる「標準世帯」という概念があります。その「標準世帯」というのは、夫、妻、2人の子という4人家族を想定しています。その夫は「年収500万円ある人」を、いってみれば"標準"としています。その年収が大きく落ち込みますと、年金制度そのものが成り立たなくなってしまうのです。
社長 でも、国は厚生年金の保険料を毎年引き上げていますよね。あれでも、まだ足りないのですか?
高橋 厚生年金の改革が行われたのは、平成16年です。つまりリーマンショックによる賃金の落ち込みなど、想定していなかったのです。このままだと年金の財政破綻は避けられません。
社長 怖い時代になりそうですね。
高橋 年金制度をこのまま無理に維持しようとすれば、「年金残って、国滅ぶ」になりかねないでしょう。
回答者は
東京都中央区及び八王子 高橋賃金システム研究所 高橋 邦名氏
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